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社内の動画を管理するポイント~手段別メリット・デメリットのまとめ~

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動画は社内の情報共有やナレッジ伝達の効率化に欠かせない手段として広く認知されていますが、動画の管理方法は多くの企業の課題になっています。近年では、動画コンテンツを用いた社内研修やマニュアル共有がさらに拡大しており、その管理体制の整備はますます重要性を増しています。

この記事では、社内における動画管理の主要な手段を整理し、それぞれのメリット・デメリットや、手段を検討する際のポイントをわかりやすくご紹介していきます。


社内で動画管理が求められる背景

業務効率化・ナレッジ共有の重要性

近年、社内業務において動画コンテンツの活用が加速度的に進んでいます。特に、複数の拠点を持つ組織では、拠点間の情報格差を埋める手段として、動画によるマニュアル提供や研修の実施、会議やミーティング内容の共有が一般化しつつあります。

従来の文章やスライドによる情報伝達では限界があり、特に「操作手順」や「トーン・雰囲気」といった非言語情報の伝達は、視覚情報や音声も含められる動画が圧倒的に優れています。

その結果、動画はもはや「特別な表現手段」ではなく、日常業務に溶け込んだ「情報資産の一形態」として位置づけられています。たとえば営業部門では、製品紹介動画を使って新人の早期育成を行ったり、人事部門では評価制度の説明を動画でまとめたりといった事例が多く見られます。さらに、ハイブリッドワークやリモートワークの定着により、社内で時間や場所を問わず視聴可能な形式が求められるようになったことも、動画活用を後押しする大きな要因です。

このように、業務効率化やナレッジ共有の観点から、動画の活用が不可欠となっている今、企業にとって「動画の作成や利用」だけでなく「動画の管理」までを包括的に設計することが求められています。

動画活用の拡大と管理の課題

動画コンテンツの活用が拡大する一方、動画の管理体制に関する課題も顕在化してきています。たとえば、以下のような悩みを抱える企業は少なくありません。

  • どの動画がどこに保存されているのかわからない

  • 社内関係者に適切に共有されていない

  • ファイルサイズが大きく、ストレージを圧迫している

  • セキュリティ対策が不十分で、情報漏洩リスクがある

  • 動画の視聴状況や活用実績が把握できない


こうした問題は、動画をただ蓄積するだけの状態、いわゆる「動画の死蔵化」を引き起こします。結果として、せっかく作成した動画が業務に活かされないまま放置されるという事態にもつながりかねません。

特に大手企業では、部署間や拠点間の連携が複雑であるため、動画の適切な分類・検索・アクセス制限を設計することが必要不可欠です。また、誰がどの動画をいつ視聴したのか、どれくらい再生されたのかといったログ情報の可視化も、コンテンツ活用の最適化には欠かせない要素です。

このような背景から、動画管理の体制整備は、単なるITインフラの話ではなく、経営戦略の一部として取り組むべき課題として位置づけられています。近年注目を集めているのが、動画プラットフォーム「Kaltura(カルトゥーラ)」のような、動画の一元管理・視聴分析・セキュリティ対策を備えた統合型ソリューションの導入です。

主な動画管理手段の分類と概要

ここでは、現在主流となっている2つの動画管理手段について、それぞれの特徴と概要を紹介します。

クラウド型サービスによる動画管理

クラウド型の動画管理は、インターネット上のサーバーを利用して動画を一元管理する手法です。近年では、多くの企業がSaaS型の動画管理ソリューションを導入し、分散しがちな動画資産の統合管理を図っています。

クラウド型の主な特徴としては以下が挙げられます。

  • ブラウザベースで操作可能なため、インストール不要で社内外からアクセス可能

  • ユーザー権限管理、視聴ログ分析、セキュリティ機能など、企業・組織向けの機能が充実

  • 動画のカテゴリ管理・タグ付けによる検索性の向上

  • ライブ配信や動画編集といった関連機能が付帯しているツールもあり、社内研修やイベントにも活用可能


特に、ひとつひとつのデータ容量が大きい動画の管理では、動画コンテンツの増加やアクセス数の集中にも柔軟に対応できるクラウドならではのスケーラビリティや、バックアップ環境の構築のしやすさは相性がよい点であると言えます。

オンプレミス型(ローカル環境)での動画管理

オンプレミス型とは、社内のサーバーやストレージに動画データを保存し、自社で直接管理する方式です。セキュリティ要件が厳しい企業や、クラウド利用が制限される業種(金融・官公庁など)で多く採用されています。

オンプレミス型の主な特徴は以下の通りです。

  • 物理的なネットワーク制御ができ、外部からのアクセスを完全遮断可能

  • データの保存先が明確なため、情報統制やログ監査が徹底できる

  • 一部では既存のファイルサーバーやNASを活用し、コストを抑えて運用している企業も存在

オンプレミス型は物理的なセキュリティが確保しやすい一方で、初期導入や保守・運用にかかる人件費・インフラ費用は高くなりがちです。また、動画ファイルは容量が大きいため、ストレージの拡張性やバックアップ体制の設計も重要になります。

さらに、社員が在宅勤務や出張などで社外からアクセスする場合、VPNやリモートデスクトップなどの補完的な仕組みを別途用意する必要があります。


動画管理手段別のメリット・デメリット

動画の管理手段を検討する際には、管理手段ごとの特徴を理解し、目的や自社の状況に応じて選定することが重要です。ここでは、クラウド型とオンプレミス型の2つの主な管理手法について、それぞれの利点と課題を比較します。

セキュリティ・コスト・利便性の観点から比較

クラウド型

比較項目

特徴

セキュリティ

データは外部サーバーに保存されるが、多層防御やアクセス制御が整っている場合が多く、SAML認証やIP制限など高度な対策が可能。

コスト

初期費用は抑えられることが多く、予算化しやすいサブスクリプションモデルのプラン、使った分だけ支払う柔軟さのある従量課金制のプランなどがある。

利便性

ブラウザ上でどこからでもアクセス可能。アップデートやメンテナンスはベンダー側が対応するため、社内のITリソースを節約できる。また、動画数が増えた場合も柔軟に容量を拡張することが可能。


クラウド型は、特にリモートワークや多拠点展開のある企業に向いており、スピーディーに導入できる点も魅力です。


オンプレミス型

比較項目

特徴

セキュリティ

自社サーバー内で完結するため、外部アクセスリスクは最小限。情報漏洩リスクを極端に下げたい業種に適している。

コスト

サーバー購入・構築費、保守運用費、人件費がかかり、初期投資が高額になりやすい。また、数年ごとの更新や再設計も必要。

利便性

社外からのアクセスにはVPN構築などが必要になる等、ユーザー体験の向上には追加対応が求められる。

オンプレミス型は、情報統制が求められる企業や、クラウドに法的制約がある業種に適しています。利便性よりも「情報の物理的制御」を重視するケースで多く採用されます。


導入・運用における実務的な課題

動画管理システムを導入・運用する際には、以下のような実務的な課題にも注意が必要です。

社内ルールの整備

動画コンテンツの蓄積が進むと、「誰が、何を、どこに、どう保存するか」といった運用ルールの整備が不可欠です。特に複数部門が利用する場合、ファイルの命名規則やフォルダ構成の標準化が求められます。

権限管理とガバナンス

機密情報を含む動画も多いため、視聴・編集・共有といった操作権限の設定が重要です。クラウド型ではロールベースのアクセス制御、オンプレミス型ではActive Directoryとの連携が有効です。

動画容量とストレージ負荷

4Kや長時間動画などは非常に容量が大きく、ストレージ圧迫やネットワーク帯域の問題が起こりやすくなります。圧縮形式の統一や、適切な保存期間の設計(ライフサイクル管理)も必要です。

視聴状況の把握と活用

動画が社内で活用されているかどうかを把握しなければ、情報共有やナレッジツールとしての価値が半減します。クラウド型サービスでは視聴ログ分析やレポート機能が搭載されているケースが多く、PDCAを回す基盤となります。


自社に合った動画管理手段を選ぶために

動画管理ソリューションは、単に機能の豊富さや価格で選ぶべきものではありません。自社の組織体制や目的、運用リソース、セキュリティポリシーに照らし合わせた「適切な選定」が成功の鍵となります。さらに、導入後に継続的に活用されるためには、社内ルールの整備や体制づくりも欠かせません。

動画管理の目的は企業によって多岐にわたります。以下のような目的に応じて、必要な機能や運用設計も変化します。

主な目的例と重視すべきポイント

目的

重視すべきポイント

社内研修の効率化

動画コンテンツの視聴分析による効果測定、研修システムとの連携性、アクセス制限、スマホ対応、字幕・多言語対応

ナレッジ共有の強化

初期費用は抑えられることが多く、予算化しやすいサブスクリプションモデルのプラン、使った分だけ支払う柔軟さのある従量課金制のプランなどがある。動画の分類機能、検索性、共有機能、ポータルサイト機能、コメント機能

情報セキュリティの強化

ブラウザ上でどこからでもアクセス可能。アップデートやメンテナンスはベンダー側が対応するため、社内のITリソースを節約できる。また、動画数が増えた場合も柔軟に容量を拡張することが可能。IP制限、SSO(シングルサインオン)、ログ監査、社外アクセス制御

グローバル展開

多拠点・多言語対応、時差や視聴環境を考慮したストリーミング最適化、クラウド型の柔軟性

こうした観点を明確にしておくことで、数ある製品・サービスの中から「目的に最適化された手段」を選定しやすくなります。


まとめ

動画は今や社内における情報共有・教育・ナレッジ蓄積の中核的な手段として活用されており、その「管理体制の整備」は企業の重要課題となっています。

本記事では、以下の4つの観点から動画管理についてご紹介してきました。

  • 社内で動画管理が求められる背景
    業務効率化やハイブリッドワークの拡大により、動画活用は急速に進展している

  • 主な動画管理方法の分類と概要
    クラウド型とオンプレミス型の特徴を把握し、自社の要件と照らし合わせて検討する必要がある

  • 管理手段別のメリット・デメリット
    セキュリティ、コスト、利便性などの観点でそれぞれの強みと注意点を比較し、目的に応じた判断が重要

  • 導入後の運用ルールと体制整備
    動画を「作って終わり」「共有して終わり」にしないためには、運用ルールや管理者の設置、社内啓発の工夫が欠かせない


今後も動画コンテンツの重要性が高まるなか、どのように動画を管理し、どのように活用していくかが企業の成長力にも影響する時代が到来しています。

皆様の動画管理体制の見直しや強化に向けて、本記事がご参考になれば幸いです。


コレオス株式会社は、企業や組織のあらゆる動画コンテンツを一元管理し、届けたい相手に最適なカタチで共有、効果測定まで可能なクラウド型の動画管理プラットフォーム「Kaltura(カルトゥーラ)」を提供しています。

「社内に散在している動画を集約して安全な環境で運用管理したい」

「動画をカテゴリやタグで整理したり、視聴状況を動画単位やユーザ単位で把握したい」

「インタラクティブ性をもたせて、動画の活用を促進したり満足度を高めたい」


そんな課題をお持ちでしたら、ぜひコレオスまでお気軽にご相談ください。

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